叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

『おはよう』





次に目を覚ますと、辺りは賑やかくなって、ナースステーションには知らない間にたくさんの看護師さんが仕事をしていた。





『よく眠れた?』





そして目の前にいるのは藤堂先生だった。





「は……い。」






果たして怒っているのでは……。
私がリネン室にいたこと。





診察の準備をしている藤堂先生をチラッと見る。





『そんなに顔を伺わなくても、何か喋れ。』




ドキンっ!




バレバレ……。




「い、いや、伺ってなんてないですっ。ただ……。」





そこまで言うと、後ろに立っている山田さんを見て助けを求める。




『山田さん見てもダメ。ちゃんと言いたいことは言いなさい。』





診察を続けながら、こちらを見ないで注意される。




「いなくなって…ごめんなさい。」







『どうしてそうなったのか、説明してもらえるか?』





やっぱり。そう来たか……。




「あの部屋にいたくなかったから。」





『なんで?今までずっといたベッドだろ?』




「……とにかく!あの部屋に戻りたくなくて…。ナースステーションで山田さんに会ってから、あそこに……。」






『うーん、説明になってないから。





もう少し前のことから教えて欲しいんだけどな。』





黙っておきたいけど、もう言うしかないのかもしれない……。
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