叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
家を出てかなり時間の経った頃の美咲は……
入退院ばかりしてきて、まともに体力はないのに、何がこんなに私を歩かせたのか分からない……。
気づくともうすぐ日が暮れるのか、辺りの田園風景は夕日で真っ赤に染まっていた。
パパの中にママはないのかも知れない…。そう思うと堪えていた悲しみが、一気に込み上げてきた……。
我慢していた気持ちが一気に出てきて、嗚咽と共に大粒の涙が出て頬に伝う。
さらに胸がバクバクした音を立ててることが分かるくらい苦しくなって、過呼吸が止まらなくなっていた。
「はあはあはあ…ど……して。」
ひざまずいて呼吸の乱れを整える……。
知らない土地に来て不安な気持ちが、多少はあったけど。
それ以上にパパに…私の知らない間に好きな人ができて…結婚までも考えてるなんて……。そのことと過呼吸になっている自分を抑えようと必死になっている。
そんなことをどのくらい続けたのかわからない。
次に周りを見渡すと、日は暮れて真っ暗になったいた。
それはさっきみた夕日に照らされた田園風景とは、打って変わり、真っ暗な闇に包まれ、さらにはぐっと冷え込んだ寒さに寒気した。
季節は秋から冬になろうとしている。
上着を羽織わないで、靴も履かないで出てきてしまったことに、後悔した。
同じ場所に立ちすくんで気持ちが落ち着いてくると、今度はこのまま帰れるのかという不安が押し寄せる。
とりあえずは、来た道を返そう。
そう思い後ろを振り返るけど、真っ暗な道はもはやどこから来たのかわからなくなっていた。