叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

部屋で治療が終わるなり、田中先生が下に行ってパパを呼びに行った…。




「…ねぇ、ありさ。」






いよいよこの時が来たと思うと、もう逃げられない気持ちから不安に思いありさの腕にしがみつく。




『ど、どした!?』





「……怖い。パパと話すの、怖い。」





だって私の気持ちを伝えたら、結局パパの気持ちをダメにしてしまう。






パパは私に遠慮して、今回のことはなかったことにしようって言うに決まってる……。





『大丈夫だよ……。




美咲のパパ、ものすごく心配してたよ。





ここで美咲のパパとずっと待ってて、いろいろ話したけどさ、世間話なんてする余裕がないくらい。




私の知ってる美咲のことを全て聞き出そうとしてた…。





でも、私より美咲のパパの方が、美咲をよく知ってた。






だからさ…私が思うに、こうやって不安になってる美咲のことも分かってるんだよ。





美咲に大切な話をしたら、どうなるかってこともきっと、分かってて、





分かってたから、なかなか話せなかっただろうし。





だから、ちゃんと話してみよ。』







抱きついた私の頭を撫でながら、話すありさ。





ありさの言葉を聞いて、





パパと話すことができるかも…






と思えた。それと同時に、ちゃんとパパと向き合わなくちゃと、ありさから離れる。





「ありさ、ありがとう。





私、大丈夫そう。」





そう言うとありさは、分かったよ。大丈夫だからね、と言い部屋を後にした。






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