叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
『美咲ちゃん、ちょっといい?』
開けられたカーテンのおかげで、誰が来てもすぐにわかるようになっている。
そこに田中先生が顔を出した。
検査結果が出る頃かな…。
お父さんが病院に呼ばれて少し前までここにいた。
今ごろ暗い話を藤堂先生から聞いているだろう、そんなことを思っていた私のところに、田中先生がやってきた。
『気分はどう?』
「喉のあたりが変な感じはするけど、大丈夫です……。」
『大丈夫っていうのは、そういう時には使わないんだよ。』
そう言いながら、ペンライトを手にして私に口を開けるよう促す。
『少し傷ついて炎症してるね。
薬は塗ってるだろうから、また寝る前にでも塗ろうね。』
どんな薬を塗るのかも知っている。
苦味の強い薬で、長い大きな綿棒で喉を直接塗る。
そんなことも知っているほど、医療には詳しい。
『ところでね、検査結果なんだけど。
今藤堂先生がお父さんに話してるところで、美咲ちゃんには僕からでいいかな?』
そうだと思った。
別に誰でも構わない。
頷いて返事をすると、田中先生はベッド添いの椅子に腰かけた。