叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
『美咲っ、大丈夫か?』
田中先生が出て行った後、妙に眠くなってウトウトしてるところにパパの声…。
『気分はどう?』
その後ろには藤堂先生。
「大丈夫……。」
ベッド横の椅子に藤堂先生と座るパパ。
『田中先生に今後のことを聞いたよね。どう?美咲は、どう思う?』
パパが優しく聞いてくる。
どう思うって?
そんなの……
「……別に。
それでいい。」
『別にって、美咲?自分の体のことだよな?』
優しかったパパは少し怒っている。
自分の体のことって言うけど……。
治療方針を聞かれたことなんて一度もないよ。
『ちゃんと、田中先生の話は聞いてたのか?』
藤堂先生が隣から聞いてくる。
「聞いてましたっ!」
ついイラっとしてしまい、当たってしまう。
『そんな言い方はないだろ!?』
そしてさらにパパを怒らせてしまう。
一昨日、家であんなに仲良く話せたのに……。和解したはずなのに、すぐにこうなる……。
すると藤堂先生が、
『治験ができるか、こちらでもう一度検討したら、来週からさっそくやっていこうと思ってるからな。』
ほら、決定事項だ。
『美咲、いいか?』
黙っていればパパが言ってくる。
「…………うん。」
適当な感じで返事をしておけば、二人は立ち上がりパパはまた来ると言って、帰って行った。
新しい薬なんて……本当に効くのか。
楽な治療方法だからいいけど、効かなかったらどれだけパパを落胆させるのか……
そんなことしか頭になかった。