叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

「う……もう、無理……。」




治験を開始して三日が経ったお昼ご飯。





薬漬けの毎食に気持ち悪くて、とうとう手が止まってしまった。



これではドロドロな食事が終わらない。





ホント……無理。
この治療方法で治った人がいるのか…。
無謀な挑戦ではないのか…。
不安しかない。






そして治験を始めてから、毎食現れるのは主治医の藤堂先生。






『…………おい。減ってないぞ。』





机に広げられた薬を目にして第一声。






「ぃや……。もう無理。」





『無理でもダメだ。』






何がダメなんだ…。こんな大量の薬の話は聞いてない。






薬を取り出すことすらできない。






『はいっ、取り出す。一つでも多く口にいれて。』





そう言って薬を一つ開け始め、私の口に持ってくる。






バシッ!!





思わず手で払いのけたところに、藤堂先生の手があった。






『おいっ!』






「…………。」





無理だって。吐きそうなんだもん。





「もうやめる…。」






『それはダメだ!』





理由も聞かずに即答してくる。
やっぱり無理矢理な治療方法。
治療することだって、自分たちで盛り上がって……。






こんな辛いなら、やめたい……。






『やめることはダメだ。』





私の目を逸らさないで捉えたまま、薬を集めて袋から出していく。





地獄だ……。





水を渡され、無理矢理かと思うほど薬を口に入れられ……結局全て飲みきった。






胃はたまらなく気持ち悪い……。
夕食のことを思うと、胃から込み上げてくるものがあった。




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