叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

〜医局にて




『……ふぅ。』





病室から戻って、自分の机に戻り、椅子に座った藤堂先生は美咲の様子にため息をついた。





『どうかした?』





それを見ていた田中先生が心配そうに尋ねる。





『いや……美咲の新しい治療の件なんですけどね。』





『えぇ。』





『薬がなかなか飲めないでいるんです。




さっきは、もうやめるっ!って言い出しました。
本気じゃないといいですが…。』







『う〜ん…まだ始めたばかりだし、この薬の重要性は充分説明したし…。
本気で思ってるってことはないと思うけど……な。』






最後の方はほとんど自信のなくなった田中先生。





美咲のことだけで頭がいっぱいの藤堂先生は、外来から応援の電話が入り、すぐと医局を後にした。





代わって頭を抱えるのは田中先生となった。
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