叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
シューーーーーーー
無理矢理連れて行かれた処置室で、手荒く処置され、腕に点滴が一つ増えて口には吸入をさせられ、動けなくなり……。
そんな状態で、胸の音を聞く田中先生。
聴診器を耳から外すと、
『少し良くなったかな。
ビックリしちゃったね。』
優しい口調に厳しい視線。
『田中先生…なんだって?
風邪は良くなってるのかな……?』
質問されたものの、口が塞がれて答えられない。
ピーーー
と吸入が終わり、口が解放される。
手早く田中先生が片付けてくれる。
「電話してるときに、咳をしてました。
良くはなってないような気がします。」
咳が落ち着いて、体も点滴のお陰でか、軽くなった気がする。
『そっか。一人暮らしだろうから、夜に行ってこようかな。』
へぇ、一人暮らしなんだ……。
『ん?相当心配なようだね。
美咲ちゃんは何だかんだ言って、藤堂先生が好きなんだねっ。』
「えっ!?えっ!?えっ!?」
突然投げかけられた言葉に、動揺を隠しきれない…。
『いいと思うよー!藤堂先生も美咲ちゃんのこととなると、ほかの患者さんのことを忘れて駆けつけるし。
あっ、でも。
完治しないと、恋人にはなれないかなぁ〜』
「えっ!完治!?」
こ、恋人って。そんなの絶対に無理!
私と先生じゃあ……年の差が。
って、完治って?
『だって主治医と患者さんじゃ、ねぇ』
うぅ……そういうことか。
『ま、あの薬を頑張って飲めれば、完治も夢じゃないだろうけどね。』
その言葉を聞いて……
それから数ヶ月……
ものすごい頑張った。