叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

翌朝、目を覚まして人の気配を感じる。




ん?





ベッド際の点滴を調整しているのは……?






梶田先生!






やっば!






恥ずかしさと、こうなる前の私の行動に怒られるんじゃないかと、開けてしまった目を閉じようとしたところ、






『あ、起きた?どう、痛む?』






すぐに気づかれ、





閉じ損ねた。





痛いことは今の今まで忘れていたけど、思い出させてくれた。
お腹が強烈に張る感じが、生々しい傷があるんだろうと見ていないのに分かる。






『痛かったら手を握って。』





ほわん、







と左手を包まれ、私の心拍は強くなる。質問に答えないでいたら、喋れないと思われたのか…こんな優しい対応にドキドキが止まらない。







そして、






きゅっ





と軽く握り返す。温かくて大きな手。普段の私なら、すぐさまこの手の匂いを嗅いでしまいそうになる。
良かった、身動き取れない今で。






それから梶田先生が、私にした手術を教えてくれた。





痛み止めをしてくれたせいか、それともいつものように耳が聞かないようにしていたせいか…





内容が頭に入ってこない……。






そのまま……寝そう。







……。
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