叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
目を開けると瞼が目ヤニで開けづらい。涙が固まったみたい。
今の私、どんな顔してるのかな…。
布団から顔を出す。
「あ゛ーーーー」
声が枯れてる。声出して泣いてた訳ではないのにな。
ベッドから降りて棚にある鏡を見る。
まぁそんなにひどくはないかな。
そのままトイレに向かう。
寒いけどトイレは近い、カーディガンを羽織るほどでもないし。
ジャー
いつものように水を流す。
ん?
あれ、今何か赤かったような…。
下着を見てみるけど汚れてはいない。不安になってもう一度ティッシュで拭う。
うん、大丈夫。
気のせいかと手を洗ってトイレを出る。
病は気からというだけあって、検査結果が悪いと思うと何につけても不安になってしまう。
「クシュンっ!!」
何か着てこれば良かったかな。
くしゃみが出たことさえも不安になる。
とフワッと背中に被さる。
暖かい…と目をやると、
白衣。そしてこの匂い…。
ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……
私の両肩に手を置いて立っているのは、
梶田先生っ!!
シーーーーーン
周りの音が何も聞こえず無声音となる。つられて息を潜めてしまう。緊張からか頭の中が何かで詰まっているような気分。この静けさの中で私の胸の音が聞こえてしまいそう。
静まれ私のし、心臓っ!!!
ドンっ!
思っていたことが行動に現れ、拳で胸を叩いていた。
『ダメだよ、そんなことしたら。』
手首を握られ止められる。
ドク……ドク……ドク……
ヤダ……
余計に胸の鼓動が速くなる。
『どうしたの?胸が痛いの?』
言われて気づく、相当キツく胸を握りしめていたみたい。
私……どんな顔をしてる?
少し冷静になると、自分がどんな醜い顔をして立ってるのか気になり始める。驚いてる?あ!さっきまで泣いてたんだ…。っていうかこの状態が余計に苦しくて涙が出そうになる。
『大丈夫?部屋に行こうか。』
ヤダ……恥ずかしいっ!!!
ようやく恥ずかしさが現れ、何も言わずに走って部屋に向かっていた。
これじゃただの不審者だよーーーー!