叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
……と、いうことで。広い広い校庭のベンチに、今藤堂先生と横並びで座っている。
って!?どうして!こんなことに。
『どう?久しぶりの学校だったけど。友達できたか?』
またピンポイントで……。
一番聞かれたくない質問。
「……うーん、難しい…かな。」
黙っておくこともできたけど、
少し誰かに話せたら……と思っていた。でもこういうことを話す相手はパパ以外にいない。そんなパパも忙しくて話せないし、娘が学校で浮いてると知ったら親として心配になるに違いない。それにそもそも、この高校生活のスタートラインに立てなかったのは、私が入院していたせいで、そして私が病気になったことをパパ自身が自身を責めてしまうことは間違いない。
そんなことはできないから、誰にも話せないでいた。
こんなときに、まさか藤堂先生にズバリと聞かれるとは……。
それから退院して学校に行った時から、一人でご飯を食べてることや話しかけてもらえないこと、それどころか挨拶もさえもしてもらえないことを話した……。
「正直……、どうしていけばいいか分かりません。」
『何にみんな近寄りがたいんだろ。』
「え?何が?」
『何か近寄りがたいことがあって、話しかけないんじゃない?』
「そんなの私の全てだよ……。」
『そんなことないと思うけど。美咲は自分で思ってるより、初めましての人は話しやすいと思うけどな。』
そうかな……。私、こんなに暗いし。
「あ。でも、お昼ご飯の時は……。
中学までは幼い頃からの友達ばかりで、私の食事のことで何か言われることもなかったし、みんな気にもしてない感じだったけど。高校ではみんなが私のお弁当を不思議がってジロジロ見てくるから……、今は屋上とかで食べるようにしてます。」
『そうか……。でも周りは美咲のことを知らないんだよな?』
「うん……。」
『分かった。俺で力になれるか分からないけど……。』
そう言って時計を確認しながら立ち上がる藤堂先生。
何が分かったのだろうか……。こんなに複雑で深刻な問題なのに。
『じゃあ、次の授業の準備してくるな。』
「はい……。」
『美咲はとりあえず保健室でゆっくり休め。それからっ、胃腸の調子が悪かったら病院に来るんだぞ!』
ヒャッ!
全てお見通しという顔で去っていく藤堂先生。
とりあえず次の授業はお休みさせてもらおう。
こうして、一時間、私は保健室のベッドに横たわった。