叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
『美咲、少し前にも入院してたって聞いたけど…。』
誰かに聞いたのだろう、この辺りでは地元の私たちの情報はとてもすぐに伝わる。入院していたのは2ヶ月前のことだから、私を知っているほとんどの人が既に知っているだろう。
ありさは私の顔をチラッと見る。
「うん、また入院してたよ。もう良くなったけどね。」
『完治!?』
まん丸の目を余計に丸っこくして私を見るありさ。
そんなに期待した顔しないで…。
「そんな訳ないよー。たぶん治んないよ……。」
だってさ、この生活長いんだもん。お医者さんも治らなくて困ってるだろうな…。
そう思うとありさに会えて持ち上がっていたモチベーションが、一気に下がる。
私を見てありさも察したのか、黙ってしまった。
『大丈夫、必ず治るから。』
大きな手が私の頭を撫でる。
私のパパであるかのように、私にさえも優しいありさのパパ。
ありさのパパに病気のことを相談する訳ではないのに、私が落ち込んでる時は分かるのか、よくこうやって頭を撫でてくれる。
『退院したならまた遊ぼうよ!』
「うん!遊びたい!」
ありさのパパとありさの言葉で、気持ちもなんとか持ち直した。
『また近いうちに遊びに来なさい。』
ありさのパパはいつも私に会いたがってくれる。だから私たちが外で遊ぶよりも家に呼んでくれることの方が多かった。
「ありがとうございます。またお邪魔します。」
『また近いうちに会おうね。』
「はいっ!」
なんか少し引っかかるような言い方だけど、まぁ深くは考えずありさとありさのパパと別れた。
そういえばありさのパパって、今どこの病院だったかな…。
また遊びに行った時にでも聞こう。