叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

翌日、学校に行って教室に足を踏み入れると……。







前の席に座っていた女の子グループが、パッと私の方を見ると、その中の女の子が、





『おはよう…。』





へっ!?






今までずっと、ずっと誰からも挨拶すらされなかったのに、突然朝一番におらようと言われ、つい拍子抜けした。






『おはようっ。』






その子以外の女の子も私に挨拶してくれた。






朝家を出るときは、また今日も誰とも話さないで終わるんだろうと思っていたから、私からの挨拶の言葉がすぐに出てこない。





『お、おはよう。』







また他の子にも……。







「あ……、おはよう。」






ようやく出てきた言葉。








ようやく言ってもらえた挨拶…。






何で今になってみんなが声をかけてくれるか分からないけど。
ようやく高校に来て、初めてクラスの子と挨拶を交わした。






それから事は順調に進み、私に声をかけてくれた女の子グループと初めてお昼ご飯を一緒に食べることとなった。








私のお弁当を不思議がっていた子は、クラス全員だったようで。
一緒に食べてた子たちにどうしてこういう食事なのか、持病についても説明していると、周りの子たちも何気に聞いてくれ、気づくと教室中が静かに話を聞いてくれていた。







『そっか…大変な思いしてるんだね。それで今は体調は大丈夫?』







私の話が終わると体調まで気遣ってくれた。







「うん、今のところはね。」







『何かあったら言ってね。言ってくれないと分からないままだから。』







とズバッと意見してくれなのはみんなから『らら』と呼ばれてる子。
確か、名前がららかちゃんという。







その日私は、初めてクラスの人と挨拶を交わし、お昼ご飯を一緒に食べ、帰りは寄り道をして帰ることになった。






帰り道、みんなの会話について行くのに精一杯。話の流れは商店街のコロッケを食べて行くことになっていた。







どうしよ……。
そういう食事、久しぶり。
ここで食べれないって言うべきか、それとも少しだけでも挑戦してみるか。
うーん…。お昼ご飯の時に、ドロっとしたものしか食べれないことは言ってあるけど、みんなそこまで私のことは頭にないはずだし。
ようやくできた友達に、ここで空気の読めないことを言ってしまって、友達じゃなくなってしまったら……。






そう考えている間にも、商店街に着き、ついにお惣菜屋さんでみんなコロッケを手にしていた。







衣だけ取れば、いけるよね……。
中身はただじゃごいもを潰しただけのものだし。






そして一口っ。







「うわっ!美味しっ!」






初めて食べるコロッケ!小さい頃は食べていたと思うけど。
最近では病院でのドロっと柔らかく砕かれたコロッケの味しか知らなかった。
あったかくて、ほかほかのじゃがいもから甘みがたっぷりする。






『でしょ?これがこの商店街での一番のおススメ!』






この味は私が高校に来て初めて友達ができた喜びと同時に舌に記憶される味となった。
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