叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
『驚いた?先月、またこの病院に戻って来たんだよ。』
そう話すのはありさのパパ。
一昨日会ったばかりなのに。
「あっ!」
そう言えば、近いうちに会える、なんてことを言ってたような。
『一昨日会った時から調子悪かったんじゃない?お腹さすってた気がしたけど。』
「そんなことないですよ。最近は調子良かったから。」
椅子に座って私の顔を覗き込む。
その瞳はありさと同じまん丸の目。
声は優しくて心配してる言い方だけど、今のありさのパパの目は、どこか私を問い詰めようとしている感じがある。
『一昨日会ったときも、何だか冴えない顔してたし。』
なぜこうなったかというと、二日連続で、私が食べるのは好ましくないものを食べてしまったっていうこと。
だけど、それは絶対言えない。これを言ったら、今まで私を診てくれていた先生たちを裏切ることになるから。
絶対に知られてはならない。
でも、何か原因があることくらい言っておかないと。
「高校に行ってから、うまくいかないこともあって……。ハハ、ストレスかな。
あっ!?でももう大丈夫です!友達もできたし。」
高校でうまくいってなかったことをパパに知られてはまずい。
既に藤堂先生は知ってるけど。
これ以上パパに心配をかけれない。
それにもう友達はいるし。
『そっか……。』
腑に落ちない顔のありさのパパ。
私はこれ以上は何かボロが出そうだったから、疲れたと言って再び眠った。