叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
次に目を覚ました頃、ベッド際の椅子で座っているパパが私の顔を覗き込んでいた。
『あぁ、美咲。
目が覚めたか。気分はどうだ?』
私より顔色の悪そうなパパは、目がさめるなり、私を心配する。
『大丈夫か!?』
「うん……。何とか。
仕事…は?」
そういえば大事な仕事のため、出張中だったよね?
どうしてここに?
『他の人に代わってもらったから大丈夫だよ。』
他の人に?私のせいで?
「ごめんなさい……。」
『美咲が謝ることじゃないから、心配するな。それよりも、気分は?』
いや、心配だよ……。
だって私が入院中も、検査や先生からの話やらで、仕事を抜け出してきてることがたくさんあって、周りからもいろいろ言われてきただろうに。
退院したらしたで、私が家にいるから出張すら任されなかったし……。
こんなに疲れる顔になるまで働いてるのに…。私のせいで……。
気づくと涙が頬を伝っていた。
自分の体の弱さに、心の弱さに涙が出てきた。もっと強ければこんなことにはならなかったのに。
『ん?美咲、大丈夫か?』
優しい声のパパが私の顔を覗き込む。
大丈夫っ。私は大丈夫だから。今回はすぐに退院して家に帰って、またパパが出張を任せられるように……。
『美咲、こんな時に悪いんだけど……。』
ん?何?
『会社に行かないといけないんだ。
出張は代わってもらったけど、まだやることがあって……。』
そんなこと、気にしなくていいのに。申し訳そうな顔のパパ。
「私は大丈夫だからっ!」
今出る精一杯の声でパパに元気だってこと見てもらわなきゃ。
『うん…。また荷物持って来るからな。』
「そんな荷物なんていらないよっ!だってすぐに退院できるんだから。」
早く退院して、家のことやらなきゃ。そして前の生活に早く戻らないと。
『あぁ…。でもさすがに、今日の今日は帰れないから。数日は入院になるだろうしな。』
「そうだよね…。」
やっぱりまた長期入院ってこと?パパの顔がそう言ってる。
『大丈夫だ、心配するな。
あっ、それから。
痛みがあったり、何かいつもと様子が違う時は言うんだぞ。』
は、はは……。
「はい…。」
最後まで私の心配をしながら、パパは帰って行った。
はぁ、長期入院か……。
私がちゃんと体調の変化を言ってなかったことも、パパにはわかってるんだ。今回、こんなことになっちゃって、先生たちにも怒られるのかも……。