叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
行き着いた先は、屋上。
暑い……。
季節は7月。
長い梅雨が明けて、ようやくやってきた夏は突然猛暑を叩き出し、病院内と屋上の気温差は10度以上はあるのではないか。
こんな屋上に誰がやってくるのか。
隠れて食べるなら、ここしかない。
パジャマのポケットに隠してあるおにぎりを手で触って確認する。
よし!
心に決めて一歩屋上に出ると、さらに暑さは増す。
冷房がしっかり聞いた病院内では、夏でも上着がいるのではと思うほどに涼しいが、その冷房の効かない辺りまで出たところ、体に太陽のギラギラとした光が焼きつくのがわかった。
そこから少し歩いて、屋上の出入口から死角になる場所にたどり着くと、さっそくポケットのおにぎりを取り出す。
うん、今しかない。
いまいちおにぎりの開け方が分からないけど、やっとのことで開けて、そのまま躊躇なく口に突っ込んだ。
うん……。やっぱり美味しい!
誰かに見られたらと焦る気持ちの反面、消化してもらわないと困る気持ちもある。
少しずつ…と思いつつも、すぐに平らげてしまった。
「美味しかった……。」
残ったゴミは屋上のゴミ箱に。
あまりの暑さに屋上を出るときはフラフラしながら扉を開けた。
ふぅ、誰もいない……。
良かった。
フラフラしながらも急ぎ足で病室に戻った。