叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
「ふー、はぁはぁはぁはぁはぁはぁ。」
途中呼吸を治そうとするけどうまくいかない。
あぁ、しんどい……。ナースコールも探すことができないくらい苦しい…。
なんてもがいていると、
『大丈夫ー?』
入ってきたのは初めてみる先生で、色白のイケメン!?
イケメン先生にさらに緊張してか、いやそんなことでなる訳ないんだろうけど、呼吸の乱れは先ほどに増して強くなる。
「はぁはぁはぁはぁはぁ……。」
『すぐ良くなるからね。』
そう言いながら肩に優しく手を当てられる。
自分で落ち着かせようとするけども、余分な考えが頭をよぎり集中できない…。
「はぁはぁはぁはぁはぁ。」
梶田先生と同じくらいイケメンで、私の心を射止めた先生を見ながら、意識を保つのに必死。
意識が朦朧としかけた頃、駆けつけた看護師さんのマスクを口に当てて呼吸をすると……。
『はぁ、はぁ、はぁ。』
やっとのことで呼吸が整ってきた……。
『苦しかったね、頑張ったね。』
あぁ、言葉までイケてる。
「はあ、はあ。」
疲れた……。
『どうしたのかな?何かあった?』
ぇっと、遡れば昨夜のおトイレでの出来事が尾を引いて……。
なんて言えない…。
「分かりません、突然…。」
『そう……、前にもこういうことはあった?』
腕に刺された新たな点滴の速さを調節しながら聞いてくる。
「は、はい。少し前に。」
『その時はどういう状態だったの?』
あの時はお母さんのことを思い出して……。
『…わかりません。』
イケメン先生、ごめんなさい。本当のことは言えません……。
『そう……。
今日は眠れそう?』
「たぶん。。。」
無理です、眠れません。
『分かったよ。ゆっくり体を休めてね。何かあればナースコールを押してね。ここには常に看護師さんも僕たちも起きてるから。心配しないで。』
その言葉でもう私は十分幸せです…。
願わくば、あなたのお名前を教えて欲しいくらい……。
なんて考えているうちに先生は別の患者さんのところに向かった。
苦しかったけど、とってもカッコいい先生に会えて、ここ集中治療室も悪くないなぁと思えた。