叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

尋問


『いつから夜更かしするようになったの?』




眠たい私の隣で尋問する田中先生。






「……ぇっと。」




眠い、けど寝たら怒られそう……。






『昨夜なんていつもと違って強めの薬だから、眠れていいはずなのに。』





適当に返事をしようと思っていたけど、簡単には引き下がってくれそうにない田中先生。





「う〜ん……。」





考えるフリをしてみるけど、その先を黙って待たれる。






「検査する前の日の夜……かな。」





『二日前の?』






「はい……。」






『どうして?』






すかさず質問される。





「下剤を夜に飲んで…、それからほとんどトイレから……出られなくて…。」






そういうと驚いた顔の田中先生。
やっぱり言わない方が良かった……。






『どうしてそれを言わなかったの!?』





「いや…だって……。」






『夜中、ずっと?』






頷いて返事をする。






『なんで言わないの!?』






二度も同じことを聞かれる……。






「それは…。」






その先を黙って待たれる。





「トイレから部屋に戻る時に、看護師さんに会って何してるか聞かれたけど……、検査前の下剤でお腹痛いって言ったら、納得されて。」






『一度しか看護師に会わなかったの?』






「はい……。ほとんどトイレにこもってたから。






途中トイレで寝ちゃったけど、すぐにお腹痛くて目が覚めて……、その繰り返しでほとんど起きてました…。」







田中先生がどんな顔してるこちらを見てるか分からない。怖くて見られない。





結局、鋭く聞かれて全部答えてしまった……。





『はぁ……、なんで言わないの?
ただ事ではないって、思わなかった?』






きつい尋問がさらに口調が強くなって、きつくなる。






「こんなものかと……。」






『そっか……。』





「はい……。」





『そんなに苦しんでたなんてごめんな。看護師が早く気づけば良かったのに。』






と、厳しい尋問から一点、なぜか謝られる。




そんなことには慣れてないので、なにを言ったらいいのか分からず、黙る。






『だけどさ、なんで下剤がよく効いたのか分かる?』







ん?






『普段から食事の量も質も、胃腸にいいものばかりだから、下剤は少量しか使ってないんだ。』







ん?何か嫌な予感……。
さっきまで私は悪くない感じだったのに。





チラッと田中先生の顔を見る……。





や、ヤバイ……。






これはヤバイ…。


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