叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
今までに見たことのないほど、田中先生の顔は赤くキツイ表情……。
パパにもこんな表情されたことがないのに。
その表情とこの重い空気で、息が詰まりそうなるけど、こういう時に限って出てこない過呼吸。なんとかそれで誤魔化そうとしたいんだけどな……。
『これ……。』
テーブルに出されたレシートとゴミ。
それは一目であの時のものだと分かった。だから、それを手にとって余計な言い訳は無用だと思った……。
『屋上のゴミ箱にあった。
院内のコンビニはな、入院服を着た人が食事を買うことがほとんどないんだ。
だからいれば連絡が入るようになってるんだけど、その日はコンビニが忙しかったようで、連絡が来たのが翌日だった。
連絡が来た後に、もしかしてと思って人目につかない箇所に行ってみた。
そしたら、屋上にこれが。
こんな暑い時期に、わざわざ涼しい病院を出て、屋上に行くなんて人はほとんどいないようだ。』
語尾も表情もキツくなる田中先生と反対に、私は血の気が引いて行くのが分かった。
『この時だけじゃないよな?』
もうその言葉で、私が大嘘をついて、みんなを騙していたことがハッキリとした。
言葉が出ない代わりに、再び頷いて返事した。