叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

私は一体、どこに向かってる?





スリッパは病院のスリッパで、服はパジャマで…。
外に出て、すぐにしまったと思った。




これでは不自然過ぎる……。





だけど今日は休日…、そして田舎街だから人通りは少ない。裏道に入れば誰にも会わないくらい。







パジャマで歩きまわって、自然とたどり着いたところは……、






ありさの家……






なぜ、田中先生の家なのに来てしまったのか分からない。
自分の家には鍵もないし、パパは仕事だろうし。もしパパがいたとしたら、逆に帰れない…。






私が帰れる場所なんて、ない。





田中家の表札の前でただ立っている。






『美咲?』






声がして振り向くと、






「ありさっ!」





私はどこからか帰ってきたであろうありさに飛びついた。





『美咲?どうした?』





ありさはきっと、この格好を見て病院を抜け出してきたことくらいわかっているだろう。
でも、それをあえて口に出さないでいてくれた。





『部屋に、行こう?』





ありさに言われ何も答えないまま、田中家に入る。






リビングにありさのママがいるようだけど、ありさは私がいることを黙って部屋にあげてくれた。
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