叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい

『ねぇっ!ちょっと待って!』






ん?誰の声?






一瞬、どこにいるのか分からないくらい気持ちよく眠っていた私は、部屋を見てすぐに現実に戻った。





部屋の外でありさが誰かに声をあげている。





『ありさっ!どきなさい!』





その声ですぐにありさのパパ、田中先生が来てることに気づいた。






ヤバイ!






部屋のドアノブを見ると、鍵が付いている。






ガチャ





慌ててドアに走って行って鍵をかけた。





ふぅ〜







『こら、開けなさい!』






ドンドンドン!






『パパやめてって!無理に美咲に近付かないでっ!』





部屋の外でありさが必死に抵抗してくれてることが分かる。






『ありさ、いいからどきなさい!美咲ちゃんはまだ外に出てはいけない体なんだ。』






田中先生の怒ってる声が聞こえる……。ヤバイ…。





『パパっ!美咲の体のことばかり見てないでよっ!





美咲の心だって見てあげて!』







ありさ……。ありがとう、本当に私はいい友達を持ったよ。
高校で友達がいないと話したら、私がいるじゃないって言ってくれた。
そうだよね……誰よりも大切な友達。





私はまた涙が溢れ出た。






『ありさ、分かったから。





無理に開けないから、ここで美咲ちゃんと話をさせて。』






田中先生が折れたようで、ありさも静かになった。



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