叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
『美咲ちゃん?そこにいるよね?』
溢れる涙で、声を出せない。
『体は大丈夫なのか?
もし大丈夫なら二回、ドアを叩いて欲しい。』
さっきまでの田中先生と違って、少し落ち着いた声。
私はドアを二回叩いた。
『病院へ戻ろう。』
イヤ、そうしたら何も変わらないよ。
今までと変わらない。
帰りたくない。
『今の君はここにはいられない体だよ。何があってもおかしくない。だから、帰ろう。』
「……ぃやっ!帰りたくない!」
ようやく出た言葉を思いっきり放った。
『話は病院で聞かせてほしい。』
絶対その手には乗らない。
だって、病院に行ったら思う壺だもん…。
『い……行かない…。』
そう発すると次第に目の前がグラっと揺らいだ。
あれ……?どうしたんだろ…。
フラフラしてきた…。それにものすごく寒気もする…。
目が回って、座ってもいられなくなり、ありさの部屋の天井を眺めながら目を瞑った。