叶わぬ恋…それでもあなたを見ていたい
ピッピッピッピッピッ…………
規則的に部屋に鳴り響く機械音で目が覚めた美咲は、口元に手をやってマスクを外した。
『まだ外さないで。』
ん?誰?
機械音で病院にいることはわかったけど、部屋に誰かがいるかまでは気づかなかった。
『マスクは外さないでね。もう少し安定してからだよ。』
そう言って外したマスクを口に戻したのは、昨夜私のベッドに何度も訪れた先生……。
イケメンっセンセ……。
『昨日、しっかり話を聞けてたらこんなことになっていなかったのにね。
ごめんね。』
先生のせいではないです……。
そんなに悲しい顔しないで。
『僕は、ICUにいる神山っていうよ。ICUの中でも小児科や小児外科の子達を担当しているから、これからも会うかもしれないね。僕に合わない方がいいんだけどね。』
そう言いながら、私の手を握ってくれる。
「か、かみや……ま、せんせい……。」
つい繰り返してしまった。
『ん?』
軽くマスクを外して、顔を近づけられる。
「な……なんでもっ、ないで…す。」
わあぁ……、何もないのに名前を呼んじゃったから、先生の顔……近い。
先生は、私が先生のことを少し惚れてることに気づいてなんかないけど、もし知られたら、こんな状況……恥ずかしいよ。
手を握られて、顔まで近い。
なんだこの距離感は……。医者と患者はこんなにも近いものなの?