恋を忘れたバレンタイン
 彼の手が、キャミソールの中に入り、直接肌にふれると、体が耐えられず反応してしまう……

「あっ……」

 胸の中の警戒音が鳴り響きだした。

 こんな風に触れられてしまった体を、一晩だけと割り切る事が出来るのだろうか? 

 私の心は、動き出している。
 でも、その感情は、傷つく結果を予期している。

 だから、割り切る覚悟をしなくては……


 そう思った時、キャミソールを脱がされ、胸がさらけ出された。

 彼の視線が胸へと落ちる。

 思わず、両手で胸を隠す。

 このまま彼のペースに流されたら、心まで流されてしまう恐怖が押し寄せる。


 私は、胸を隠しながら、両手を彼の胸にあてたた。

 パジャマのボタンをゆっくりと外すと、彼の胸にそっと触れた。

 彼の体が、びっくと跳ね、パジャマを脱ぎ捨てた。


 全てを見られる前にと思ったのに、両手を彼の手に抑えられた。

 胸が彼の顔の前に突出し、隠す事も出来ない。


 じっくりと、彼の目が、私の胸に落ちる……


「綺麗です……」


「やめて、言わないで……」


「綺麗だ……」

 彼は、何度も言う。


 私は、大きく首を横に振った。

 恥ずかしくてたまらない……


 こんな風に、心が乱れたのは始めてだった……


 彼の唇が、私の胸に触れた瞬間、私の体は跳ねた……
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