恋を忘れたバレンタイン
バレンタインデーの後悔
 月曜日の朝……
 鏡の前で自分に言い聞かせる。

 冷静に……
 大丈夫……

 今までだって、色々な事があった。だけど、何時だって、何も無かったように仕事へ向かってきた。

 たいした事じゃない……

 彼にあったら、平静に笑って挨拶すればいい…… 
 それだけの事だ。

 彼の部屋から逃げるように帰ってから、何度も同じ言葉を繰り返している。



「おはようございます。」


 いつものように、オフィスの自分の席に向かう。

「主任、おはようございます。大丈夫ですか?」

 丁度、出社して来た加奈が心配そうに声を掛けてきてくれた。


「ごめんなさい迷惑かけてしまって。お蔭ですっかり良くなったわ。後で、会議の報告お願いね」


「はい。すぐに用意します」


 加奈に向かって顔を上げた瞬間、ちらっと彼の姿が目に入った。
 自分の席で、パソコンに向かっている。

 もう、絶対に見ない!
 そう決めた。
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