恋を忘れたバレンタイン
 こんな時に限って、打ち合わせは予定通りに終わってしまった。

 机に戻ると、スマホが震えた。


『お疲れ様です。八番ルームにいます。時間が出来次第で結構ですのでお願いします。浦木』


 何故かラインで連絡してきた。


「はあ……」

 思わず、深いため息が漏れる。


「主任、どうしたんですか? まだ体調が悪いんじゃ?」

 加奈が心配そうにこちらを見た、


「いいえ、そうじゃないの…… これから、また打ち合わせが入っちゃって」

 私は、息をついた。


「大変ですね。それなら、この纏め私がやっていきますね」


「ええ! いいわよ」

 慌てて、両手を振った。書類纏めで時間を稼ごうと思っていたのだ。


「大丈夫ですよ。私、もう仕事無いんで、定時までに終わらせますから?」

 時計を見ると、あと二十分で定時だ。


 なんとなく、パソコンを広げ後でもいい仕事に手を付ける。

 そうこうしているうちに、定時を回った。
 私も、帰ってしまいたい。


 プルルル……
 スマホが光るり、知らない番号を表示した。


「はい、浅島です」


「浦木です」


 ゲゲっ…… そんな音が心の中で鳴った。
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