恋を忘れたバレンタイン
面倒なバレンタイン ~浦木~
~浦木~

 バレンタインデー。
 正直、面倒臭い……

 朝から、何度呼び出された事か…… 
 気楽にトイレにも行けない。

 申し訳ないと思うが、チョコは受け取らない事に決めていた。お返しが面倒なのも事実だが、下手に受け取ってその気にさせるのは、あまりに罪な気がする。それなら、チョコを受け取らない方が相手の為でもあると思っていた。



 社食から戻ると、オフィスの入口で捕まった。

 今にも泣きそうな顔で受け取らなかった紙袋を抱えている姿に、ため息が漏れそうになる。

 その瞬間、背中に確かに視線を感じた。


 思い切って振り向く。

 見られた……
 彼女に……


 俺は、一瞬目の合った彼女をグッと見た。

 ただ、俺に気付いて欲しいという思いから……
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