恋を忘れたバレンタイン
幻のバレンタイン
カーテンの隙間の明かりに、朝になっている事に気付く。
腕の中に、彼女が居ることが、不思議でもあり、嬉しさを隠しきれずギュッと抱きしめた。
額へと手を当てる。夕べよりは下がった気がするが、まだ熱い。
額に手を当てたままでいると、彼女が薄っすら目をあけた。
微かに驚いているのが分かったが、あえて気付かぬ振りで、さらりと言葉を返す。
「病院行きましょうか?」
俺は、落ちついた声を彼女に落とした。
当然、彼女を抱いているのだから気持ちは動揺しているのだが。
「いいえ、大丈夫よ。それより仕事に行かなきゃ」
やはり、思った通りの言葉が帰ってくる。
「この体で仕事は無理です」
少し、厳しめ言う。
本当に手のかかる人だ。
俺は、彼女が言い返せないよう理由を並べて、半分強引に彼女を休ませた。
そして、俺も部長に遅刻の電話をする。
布団の中の彼女が何だか騒ぎ出したが、人差し指を彼女の唇に当てる。
なんだか、いい光景に内心ニヤリとしていた。
「朝早くにすみません。朝、少し遅れます」
俺はそれだけ言った。理由を突っ込まれると思っていたのに。
「ああ、わかった。お大事にな……」
と部長は言った。
電話を切ったあと、なんだか腑に落ちない違和感があった。
だが俺は、てこずる彼女を病院に連れて行く事に必死だった。
腕の中に、彼女が居ることが、不思議でもあり、嬉しさを隠しきれずギュッと抱きしめた。
額へと手を当てる。夕べよりは下がった気がするが、まだ熱い。
額に手を当てたままでいると、彼女が薄っすら目をあけた。
微かに驚いているのが分かったが、あえて気付かぬ振りで、さらりと言葉を返す。
「病院行きましょうか?」
俺は、落ちついた声を彼女に落とした。
当然、彼女を抱いているのだから気持ちは動揺しているのだが。
「いいえ、大丈夫よ。それより仕事に行かなきゃ」
やはり、思った通りの言葉が帰ってくる。
「この体で仕事は無理です」
少し、厳しめ言う。
本当に手のかかる人だ。
俺は、彼女が言い返せないよう理由を並べて、半分強引に彼女を休ませた。
そして、俺も部長に遅刻の電話をする。
布団の中の彼女が何だか騒ぎ出したが、人差し指を彼女の唇に当てる。
なんだか、いい光景に内心ニヤリとしていた。
「朝早くにすみません。朝、少し遅れます」
俺はそれだけ言った。理由を突っ込まれると思っていたのに。
「ああ、わかった。お大事にな……」
と部長は言った。
電話を切ったあと、なんだか腑に落ちない違和感があった。
だが俺は、てこずる彼女を病院に連れて行く事に必死だった。