マジ恋相手は高校生
エレベーターを降りて父の病室へと
歩き始めたその時
後ろからトントンと肩を叩かれた。
「え?」
と振り返ると肩を叩いたのは
葵くんだった。
あまりにも突然すぎて
その後の言葉を失った。
「萌香?」
半信半疑のような声だったが
顔を見た瞬間
「生きてたんだ」と
葵くんの冷たい目線と言葉。
生きてたんだ???
北海道へと飛ばされて
息絶えたと思ってたわけ?
「失礼ね!
久々に会って言う言葉?」
「率直な気持ちを述べたまでですが?」
言い草にムカつく!!
出会ったあの日を思い出す。
「全然変わらないな
すぐわかったわ」
「そう?」
「この辺に居たんだ?
3年もよく会わなかったな」
会うわけないでしょ
ってか 私が北海道に
行ってたのを知らないの?
「今日は?誰かの見舞い?」
「知り合いの見舞い」
父のお見舞いだとは
言えなかった。
父のお見舞いだと言うと
父の担当が葵くんだから
親子と知ったら何を言われるか。
「葵くんこそ まだ学生なんじゃ無い?
それなのにその格好は先生?
あっ!そうか あの頃
高校生と言うのが嘘だったわけ?」
「そんなバカな!
ちゃんと学生してました
そして今も学生ですけど?」
「どこが学生?
そんな格好して言わないでよね」
「インターンシップで
ここにいるだけ」
インターンシップか。。。
何も言い返せない私に
「疑ってごめん!ぐらいは
言えるんじゃないの?
ついでにあの頃のことも
謝ってほしいわ!」
と言い始めた。