マジ恋相手は高校生


月曜
私は病院に向かった。


ロビーのベンチに
携帯片手に座る葵くんを発見。


白衣でない葵くんを見るのは
3年ぶり。


「お待たせ」


私が声をかけると
「ああ・・・」と
お疲れモードの声。


「ごめん
約束の時間守れなかった」


そう 閉店間際にお客さんがきて
プレゼントを選ぶからと
あれでもない これでもないと
結局閉店時間を過ぎたのだった。


「別にいいよ」
と携帯をポケットに入れて立ち上がった。


あれ? 変だ
「遅い!
時間ぐらい守られないのかよ!」
って言われるのを覚悟してたのに。


「お疲れモードみたいね
それなら あたしなんかと
ご飯行かなくても
帰って寝ればいいのに」


「何が食いたい?」


私の話聞こえてなかったのか
それには反応せず
何が食べたいかと聞く葵くん。


「何でも・・・」


何でもいいよと答えようとする言葉を
途中で止められた。


「何でもいいは無しだから
今日は萌香の食べたいものを
奢るから」


「学生に奢っては貰えません!
働いてるあたしが出すから」


「黙っていうことを聞け!」


いつもの葵くんに急変したかと思えば
「何が食べたい?」
と優しい表情になる。


「ラーメン」


「ラーメン?
もっといい物浮かばないの?
もっとさぁ フランス料理とか」


「あたしにはラーメンがご馳走なの!」


「ご馳走って・・・?」


「北海道のラーメン美味しかったなぁ
味噌ラーメンにバタートッピング
あたし向こうで一番食べたのが
味噌ラーメンだもん」


葵くんは黙って私の話を聞いている。


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