マジ恋相手は高校生



「フランス料理とかコース料理とか
一瞬で食べてしまって
そのために高いお金を使って
後は残んないでしょ?
それならもっと
そのお金の使い道あるじゃない?」


私は向こうで
少ない給料での生活だったから
超ケチな生活が染みついている。


「美味けりゃ それはそれでよくない?」


「それは特別な人と
一緒ならそれでいいよ?
一度ゴタゴタしたあたしなんかに・・・」


「そ・それは・・・」


「だいたいね!
かたきうちしたい相手に普通奢る?
何がしたいのか
さっぱり分からない
あっ!そっか!
払うと見せかけて 後で財布忘れた!とか
あたしに出させる気でしょ?」


「そんなことしない
ちゃんとお金も持ってる」


「じゃあ なんで?」


「腹が減ったら戦は出来ぬ!って
言うじゃん」と笑う。


その目つきは 昨日までとは違う
戦う意欲のある目ではなくて
優しい目だ。


「うそうそ
普通に奢りたいだけ」


「それが意味わかんないんだって!」


「いいから行こ」


葵くんは私の手を取った。


「ちょ・ちょっとぉ!
この手は何!離してよ」


葵くんはそんな私の言葉なんて
無視無視
離そうと思えば力を入れて
握りしめてくる。


「萌香が決めないんだったら
オレが決める」


と 商店街を歩き始めた
2人の歩く姿はまるで
嫌々散歩をさせる飼い主とワンコ。


早く来い!とばかりに一歩先を歩き
私はそれに着いていく
手を繋がれているから
引っ張られる状態。


「わかったから
少しゆっくり歩いてよ
そして手を離してよ」


「逃げるつもりだろ?」


「逃げないよ
逃げてもまた次の手を使うでしょ
だからもう逃げない」


私の言葉に歩くスピードが緩くなった。




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