マジ恋相手は高校生
本当に葵くんの奢りだった。
お店の外で「あっ あのね」
先に口を開いたのは私。
「話があるから少し時間いいかな?」
これ以上 葵くんと会うのはやめよう
最後にしてもらおうと
初めから今日はこれを頼むために
一緒に食事することを了解したのだ。
もし それでもまだ
葵くんの気が治まらないのなら
それならどうしたらいいか
わからないけど
頼むことは頼もうと思った。
「オレも話があるんだ」
「それなら立ち話もなんだから
そこの公園でも行く?」
近くに公園があるから
そこで座って話そうと誘った。
「別のところに移動しよう」
「ううん 公園でいいよ」
「一緒に行きたいところもあるし」
と また手を引かれる。
「ち・ちょっと待ってよ
どこへいくのよ」
そんな私の言葉なんて
当然の如く無視。
駐車場に着いた。
「車?
バイクじゃないんだね」
「あれは学生だったから」
「今でもでしょ」
「車の免許を取るとね
車の方が便利だし
乗らなくなって売ったよ」
「そっか」
「でも アルバイトで稼ぎ少ないから
軽自動車ね」と笑う。
社長に買ってもらえばいいのに
社長ならホイホイと
買ってくれそうなのに
頼まないなんて大人になったな。
「乗って」
「あ・・・うん」
まさか葵くんが運転する車に
乗るとは想像もしていなかったこと。
葵くんが向かったのは
懐かしの場所だった。
例の海辺
当時のことが思い出される
・・・
そんな余韻に浸ってる場合じゃなくて
本題に入らなきゃと
思っていると先に葵くんから
「で?話って?」
と聞かれたのだ。
「葵くんからどうぞ」
「萌香が先に言ったんだから
先にどうぞ」