マジ恋相手は高校生



仕事を終え父のお見舞いに行くと
父が病室に居ない。


あの足でどこいった?
廊下に出て探してみると
ナースステーションの入り口で
看護婦さん相手にデレデレとした顔で
話してる。


「父さん!探したじゃん」


「痛みがなくなったからな
暇で暇で!だから散歩」


両足骨折の父
車椅子操作も慣れたもんだ。


「そうそう!
今日からリハビリが始まったんだ」


「え?まだ骨がくっついてないのに?」


「リハビリといっても
歩くリハビリじゃなくて
筋肉が落ちないようにね
筋トレだよ」


「他を骨折しないように
ほどほどにしないとね
もうお歳なんだからさ」


「失礼だなお前は」


「当たり前のこと言っただけです」


親子の言い合いに
看護婦さんが
「仲のいい親子ですね」
と笑っていた。


「それで?
リハビリどうだったわけ?」


父の車椅子を押しながら
聞いてみた。


「バッチリ!バッチリ!
余裕だよ」


「へぇ。。。そう」


「先生が上手だったからね
若い先生だから
力づくで押さえつけられるのかと
思ったら全く痛くなかった」


「よかったじゃん
それなら続けられるじゃん
痛かったらさ
リハビリが苦になっちゃうもんね」


「それなんだよ」


「頑張ってね父さん
早く退院して美味しいもの食べに行こうね」


「そうだな
お前がせっかく帰ってきたんだから」



「じゃあ おごってね」


「お前なぁ
たまには奢れよ!
稼いだんだろ向こうで」


高収入だったと勝手に勘違い。


「そんな言われるほどじゃないよ」


本当のこといつかは
話さないといけない。


だけど今じゃない。









< 97 / 170 >

この作品をシェア

pagetop