海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 マーリンにわざわざそんな注意喚起を受けたなら、俺はますますエレンを手元から離さない。いや、手元に置いておかずにはいられない。おそらく、それこそがマーリンの狙い。
 乗組員がエレンを手ごめにという事態だけでなく、マーリンはなにがしかの危険に備えているに違いなかった。
 マーリンは情報部隊での諜報経験から、人心を読むのに長け、状況判断にも優れる。……もしかすれば船内に、不穏分子を見つけたか?
 とはいえマーリンがそれ以上を語らなかったのなら、今はその情報を俺に明かす時期ではないということだろう。
「アーサーさん! 聞いたよ!」
 俺が考えを巡らせていれば、マーリンと一言二言交わしたエレンが、パタパタと俺に駆け寄った。
「五十肩、治ったんだってな! マーリンさんはいったいどんな魔法を使ったんだ? 俺のストレッチは出番がなくなっちゃったけど、五十肩とかって結構長引いてやっかいなのに、ほんとよかったなぁ」
< 140 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop