海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 ……これっぽっちも、よくない。
 俺は五十肩を患って、エレンとふたり寝台で、しっぽり懇ろにストレッチに勤しむ方がよほどによかった。
「エレンにストレッチをしてもらえないなど……実に残念だ」
 思わずポツリとこぼれ出た煩悩に、エレンが目をむく。
「なんだアーサーさん!? 俺にストレッチをしてほしいのか?」
 ……ギク。いかん、なんとこの場を取り繕ったものか。
「だったら遠慮なんかするなよ! ストレッチはさ、本来、筋肉を傷めないための予防に効果的なんだ。だからさ、やってほしいなら俺、いくらだってやってやるって!」
 む、むっほーっ! これはもしや、俺は夢でも見ているのだろうか?
 エレンと、エレンと寝台でしっぽり仲良くストレッチ……いかん! これ以上は鼻血がっ!
「そうと決まればアーサーさん! 早く、寝台に行こう?」
 ぬぉおおおっっ! ハァ、ハァァ、待て! 待つんだ、冷静になれ! 落ち着くんだーっ! ……いかん、出てしまった……。
「ん? どうしたんだよアーサーさん!? すっごい鼻血じゃないか!」
< 141 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop