海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
侵入者が寝台の掛布をめくる。寝台下の隙間を覗く。見えずとも、音だけでおおよその動きは読めた。
そうして一瞬、侵入者の動きが止まる。
侵入者の視線が、私が身を隠す衣装櫃に注がれている、そんな確証に似た感覚があった。
私は立てた膝の間に顔を埋め、息をのんでその時を待った。
閉じたまぶた越しに、視界が暗闇から明るく変わったことを察した。
一瞬の後、放りやられた衣装櫃の蓋が、トスンッと音を立てて床に落ちる。
鼓動が胸を突き破りそうな勢いで、バクバクと激しく鳴っていた。私は目を、開けなかった。それは単に暗がりに慣れた目には、まぶたの隙間から入り込む陽光だけでもまぶしく感じたからでもあるし、知ることを恐れたからでもある。
つむるまぶたに、力をこめた。