海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
まだあるのかよ!?
なんの武器かと危ぶんだが、どうやら革紐はただのアクセサリーのようで、その先に指輪がぶら下がっていた。
「これはバーミンガー王家、空白の紋か……!」
指輪を確認したアーサーさんはハッとした様子で、何事か小さくつぶやいた。
「……全員、ここをはずせ! 捕縛した乗船員の聴取と、積み荷の照合作業に合流! 向うではマーリンの指示に従え」
すると突然、アーサーさんは周囲に控える兵士らに向かってこんな指示を告げた。
「し、しかし!?」
アーサーさんの唐突な指示命令に、リーダーと思しき兵士が逡巡の気配をみせた。
「被疑者は降服を認め、武器を捨てて投降した。抵抗の可能性は低く、万一の事態となっても俺ひとりで十分に対応可能だ。これは提督命令だ」
「ハッ! 承知いたしました!」
この言葉に、リーダーの兵士は直角に腰を折って敬礼した。
「全員、捕縛した船に戻り、業務に合流!」
リーダーの兵士の号令に従い、他の兵士らも続々と船長室を後にする。その際に兵士らは、積み上がった暗器も手際よく回収していった。
……す、すげぇ!
海軍の組織だった連携を目の当たりにして、私は感嘆の息をついた。