海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「その時のお父上の衝撃たるや、すさまじいものだったろうな」
「うん。父ちゃん、ポッカーンとした顔して、私のことを見てたよ。少なくともその瞬間、父ちゃんの目には私だけしか映してなかった。父ちゃんの関心買えたのがうれしくてさ、やめらんなくなって続けてたら、定着してた。たぶん、この方がもともと合ってたんだと思う」
「そうか。さばさばとしたエレンの所作や口調が、俺はとても好ましいと思う。俺は無理をして淑女然としているより、自然体のエレンの方がいい。俺は今のエレンが好きだ。だけど本当は、今のエレンに限らず、俺はどんなエレンも大好きだ」
 告げずには、いられなかった。けれどそれを、エレンが重荷に感じるのもまた、本意でない。
 だから会話の中、ふわりと織り込んで告げた。けれどこれは、嘘偽りのない俺の想い。
 俺の告白に、エレンは目を丸くした。宝石よりもいっそう輝く至高の瞳が、落っこちてしまうんじゃないかと思った。
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