海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
アーサーさんはひとつうなずくと、手際よく木製机の上に夕飯を並べ始めた。
私は最初、船長とは給仕の真似事までするのかと驚いたのだが、アーサーさんの背中を見るともなしに眺めながら考えを改めた。
どうやら私の認識が甘かったようで、船長というのも一般の乗組員と同じ土俵で働かなければならないらしい。
なるほど、船の上は官職にあっても特別扱いはいっさいない、厳しい世界ということだ。
私も今日はアーサーさんに甘えてしまったけど、明日からはしっかりしないとな!
私はひとり、身を引きしめた。
夕食はほかほかと湯気の上がる、ジャガイモのシチューだった。
「わ! 美味そうだなぁ」
私は嬉々として匙を取る。
「……なんで皮付きなんだ?」
そうしてゴロンと大振りのジャガイモを掬い上げ、首をかしげた。
「エレン、皮付きのジャガイモのシチューもうまいぞ!」
「へぇ、そうなのか。どれ……、はふっ、はほほっ……っ、うまい! うん、皮付きもなかなかいいな!」