海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
と、隣でって、許すって、それはなんだかいかがわしい響きじゃないか!? ……アーサーさんと、隣? ……アーサーさんに、許す?
う、うわぁあっ! 頬にカッと熱を感じて、心臓がバクバクと騒いで苦しい。
いや、落ち着け! 相手は床での雑魚寝に甘んじようとするアーサーさんだぞ!?
そのアーサーさんの親切を、私って奴はなんて濁った眼鏡で見てるんだ!?
フーっと大きく一息ついて、失礼千万かつ、破廉恥千万(?)な自分を吹き飛ばす。
それにだぞ、そもそも私は少年なんだから、妙な勘ぐりする方がよっぽどいかがわしいってなもんだ!
アーサーさんにとって私は……そう、ただのジャガイモ坊主だ!
「そんな言い方って狡い。駄目なんて言えないし、いいって言ったら言ったで、アーサーさんは床で寝ちゃうじゃないか……。なぁ、やっぱアーサーさんが寝台で寝てよ?」
すっかり気を取り直した私は、アーサーさんに正面から向き直って言を重ねる。
「いいや。今日はその寝台は、エレンのものだ。俺の選択肢は、ここでエレンの隣の床で寝るか、大部屋で寝るかの二択だ」