海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
アーサーさんは、ニコニコと笑顔を崩さない。とんだ策士だ!
「わかったよ! 大部屋に行かないでここで寝てくれって!」
「そうか、ではエレンに甘えて今宵はここで眠らせてもらおう。ではエレン、おやすみ」
言うが早いか、アーサーさんは再び敷布もない床に、ミノムシみたいに毛布に包まって転がった。
……ムムムム!
私は渾身の力で、寝転がるミノムシアーサーさんをエイッと扉の方に転がした。
「エレン!?」
次は寝台の上掛けを剥ぎ、ミノムシアーサーさんをどかしてできた隙間に、敷布をボフンと落とし、四隅を引っ張って伸ばす。
「エレン? いったいなにをしているんだ?」
困惑の色が滲む目を向けるアーサーさんに、今度は私がニッコリ笑ってのたまった。
「アーサーさんだけ床でなんて、寝かせられるわけないだろう!? 俺も床で、寝るからな! ついでに敷布は半分こだ! これは、なんと言われようと譲れないからな!」
アーサーさんは鳩が豆鉄砲を食ったような顔でポカンとしていた。その表情に、なんだか溜飲が下がった。