海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!

 私はご満悦でまぶたを閉じた。
 寝台は結構な大きさだ。だからその敷布だって、ふたりが共に寝転がったって、なんの問題もない。上掛けだって、またしかり。
「……いかん。これは大変にけしからん由々しき事態……。少なくともこれで、俺は朝まで一睡もできんのが確定ではないか……うぬぬぬぬっ」
 清涼感のある好きな香りに包まれて、私は快適な夢の中。アーサーさんの唸りは、欠片だって耳に届かなかった。
 ……その晩の夢の中で、私はお姫様みたいなドレスに身を包み、凛々しい軍服姿のアーサーさんのエスコートで、踊っていた。
 ダンスなんてできないはずの私が、アーサーさんの巧みなリードで宙を舞うように踊らされていた。腰に触れる大きな手のひらのぬくもりと感触は、夢とは思えないたしかな存在感で、私をドキドキと落ち着かなくさせた。


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