海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
そうして上甲板に飛び出してはみたものの……。
「ブラシがないじゃんかなぁ。掃除用具はどこにあるんだ?」
仕方なく、端からそれっぽい扉やら収納箱やらを開けていく。
「おい、リバース。探しているのはコレか?」
すると、探し物に没頭する私のうしろから影と声がダブルでかかった。
振り返れば、今まさに私が探していた柄付きブラシを手に、少年が仁王立ちで見下ろしていた。
だけど、リバースってなんだ……って、アレか!? 私が盛大に戻した、つまりリバースした、あの一件をもじっているのか!
「そうそう、それそれ! ありがとな、助かるよ!!」
ひとまず失礼なあだ名はスルーして、私は親切な少年に礼を言い、ブラシを受け取ろうと手を伸ばした。
「アデッ!」
すると伸ばした私の手を、少年は事もあろうか、ピシャリと叩いた。
「なにすんだよっ!?」
少年は、キッと睨みつけた私の足を、今度はゲシッと蹴りつけた。
「ぅわあっ!」
突然の暴挙になす術なく、私は上甲板の床に、強かに尻を打ちつけた。