海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
なにより常に俺の手元に置き、目を光らせておかなければ心配で心配で、うかうか船長職務だって手につかん!
「マーリン、これは俺の船長としての判断だ」
ふふん! マーリンよ、これでなにも反論できぬだろう!
「もっともらしいこと並べ立ててますけど、……わずかに口角が上がり、ピクピクしちゃってます。煩悩、滲み出ちゃってますから」
グッ!
なんということだ……、我が腹心はなんと鋭い観察眼を有しているのか!
そうか! たしかマーリンは以前、情報部隊に属していた。そこでの尋問や諸々で培った、特殊技能なのだな!?
「とはいえ、たしかにエレンを大部屋に押し込むわけにはいなかいのもまた事実。けれど船長、乗船前の訓練中、若手乗組員の何人もがその役目を目標に切磋琢磨していたのですよ。結局、あなたが『側仕えは不要』の一言で蹴散らしてしまったわけですが……。あなたはその部分を少し甘く見ている気がします」