海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
けれどアーサーさんの処置の手が、膝下までのズボンから覗く素足に伸びた時にはビクンと体が跳ねた。
寝台下に片膝を突いた体勢のアーサーさんが、むきだしのふくらはぎに触れる。まるで壊れ物でも抱えるみたいな丁寧さで持ち上げて、アーサーさんの立てた膝の上に私の右足を置く。
う、うわぁああ!
ものすごく、ドキドキした。火照った足は冷やされているはずなのに、触れられたところが燃えるように熱い。
「こんなところまで真っ赤にして……」
ガーゼで視界を塞がれた私に、アーサーさんの表情をうかがうことはできない。けれど耳が拾った小さなつぶやきには、私への労わりが滲んでいた。
そわそわして、ドキドキして、身の置き所がなかった。
って、そりゃそうだ! いくら治療とはいえ、男の立て膝に足のっけて脛やらふくらはぎやらをなでくり回されてるなんて、こんなん知ったらまた母ちゃんが泣くぞ!?
私は息を詰めて、肩を縮めて、思考を明後日の方向に吹っ飛ばして処置の終わりを祈った。そうして足がやっと解放された時、私はホッと安堵の息をついた。
え!?