海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「おいトレッド!? さてはお前も太陽にあたりすぎたんだな!? こっちに手当の道具があるから、ちょっと冷やしてやるよ」
 目の前のトレッドが、よろりと傾いだ。
「お、おい!?」
 私が手を差し出すよりも前、トレッドは床に膝を突き、私を見上げた。
「……エレン様、俺はもう気づいてしまった。だからもう、俺にも隠さなくていいんです。なにか重大な理由があっての乗船とわかっています。もちろん事の真意を探る野暮なんていたしません。俺はエレン様の味方です! それから知らぬ上とはいえ、つまらないいびりをしたこと、どうかお許しください! この上は誠心誠意、エレン様のために尽くす所存です!」
「ハァ!?」
「他の乗組員の手前、エレンと呼び捨てる非礼をお許しください。態度やその他もろもろも、不自然でない範囲に留めさせていただきます」
 ……太陽が脳みそまで焼いてしまったとき、いったいどんな処置をすればいいんだ?
「あ! お休みのところを訪ねた上に、こんな長居までいたしまして、申し訳ありません! 俺はこれで失礼いたします!」
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