海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
「……すぅ、……すぅ」
エレンの寝息を横に聞く。
共寝を勝ち取ったものの、やはり俺のもとには一向に眠りが訪れる気配がなかった。けれど俺は、それをつらいとは思わなかった。
「ん、ん~っ」
ドフッッ!
ゔっ!!
「すぅ……」
たまに食らう肘鉄や蹴りにも頬が緩む。
「……ん~」
ゴフッッ!
ゔがっ!!
今の蹴りは、位置的に少々際どいものがあった……ふぅ。
……あぁ、この狂おしくも幸福な夜が永遠に続けばいい。俺はひとり、蹴られた箇所をさすりながら幸福を噛みしめる。
けれど無情にも、寝台横の丸窓から覗く空が、朝焼けに染まり始める。
間もなくの夜明けが口惜しい。