海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
アーサーさんは目を見張って、私を見ていた。
「だってこれ、すごく食べやすそうだ。ありがとう!」
「そうか」
アーサーさんが目を細めて笑う。
その微笑みの、包み込むようなやわらかさに、ドキンと胸が跳ねた。
アーサーさんは、私が一口大の燻製肉をフォークで頬張る姿をニコニコと眺めていた。
「なぁ? アーサーさんこそ肉、固くなっちまうぞ?」
なかなか食べ始めようとしないアーサーさんに水を向ける。
「なに、俺は歯が強いんだ。だから急がなくともかまわん」
ふぅん?
その後は、パンが食べたいと思えばパンが差し出され、手を拭きたいと思えば手拭きが手の中に飛び込む。
口元にトロリとソースをこぼせば、アーサーさんが指先で掬い上げて私の口内に指ごと含ませる。
含まされた指先ごとソースをチュパッと吸い上げれば、アーサーさんはとろけたような表情でここじゃないどこかを見ていた。