愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
「すみません、生意気なことを言って」

機嫌を損ねて辞められても困るので素直に謝ると、宮本さんは慌てて首を横に振った。

「生意気なんてとんでもない!目から鱗ですよ!潤さんはしっかりしてるんですねぇ……」

「それほどでも……」

機嫌を損ねるどころか感心されてしまったようだ。

宮本さんは両手を握りしめ、「うん、やる気出た!頑張ろう!」と大きな独りごとを言って大きくうなずいた。

高校生の俺から見れば、宮本さんは年齢的には大人の女性に違いないのだけど、精神的にはなんとなく幼いような気がする。

学校にいる女子とも、これまでうちに来ていた年配の家政婦とも違う。

これまであまり接したことのないタイプの、歳上の女性との接し方がよくわからない。

戸惑う気持ちと新鮮さが入り交じって、妙な気持ちになった。

少し変わった人だとは思うけど、決して悪い人ではなさそうだと思った。



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