愛したい、愛されたい ─心を満たしてくれた君へ─
「俺は要らないから、気持ちだけもらっとく」

「なんでだよ。潤だって吉野がいるだろ?」

「いるけど……吉野とはそういう関係じゃない」

吉野と体の関係を持つ気はないし、この先もきっとこんなものが必要になるとは思えない。

俺にとっては無用の長物だと思う。

「二人きりになったらキスくらいはするだろ?そのままお互いに気持ちが盛り上がって……ってこともあるじゃん?」

「……それはないな。キスどころか手も繋いだことないし、俺は吉野とそういうことしたいとは思わないから」

俺が正直に答えると、太一は信じられないという顔をした。

「ええーっ……マジかよ……?!」

「マジ」

「いやいやいや……嘘だろ?彼女と二人きりになって欲情しない男なんていないって!」

「それがここにいるんだなぁ……。真面目な話だけどな、俺は吉野に“好きだから付き合って”って言われたから付き合ってるけど、おまえみたいに相手のことをめちゃくちゃ好きなわけじゃないから、二人きりになっても触りたいとか思わないんだ。そんなんで何かあるわけないだろ?だからこれは要らないんだよ」

俺の考え方は彼女とラブラブ驀進中の太一には理解できないようで、眉をひそめてしきりに首をかしげている。

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